コレステロール・中性脂肪の高い状態を脂質異常症と呼んでいます。コレステロールについてはいろいろなことがいわれてきました。一部のグループが「コレステロールの高い人の方が、低い人よりも長生きしている。だからコレステロールは高い方がいいのだ」と主張し、マスコミもこれを取り上げたのです。しかし、ここでいう"低い人"とはどのような人なのでしょうか。高齢で食事をしっかりとっていない人、全身状態の悪い人、癌など重篤な病気にかかっている人、肝臓の弱っている人たちが含まれます。このような人たちはコレステロールの摂取量が少なく、またこれを作る力も弱っていて、コレステロールは低くなります。一方、元気で全身状態が良く食欲もあり少し太り気味の人たちは、コレステロールの摂取量が多く合成も良いので、高くなりがちです。この両者を比較したとき、どちらが長生きするかは明白です。
コレステロールの高い人のコレステロールをスタチン系薬剤(最もよく使われている高コレステロール血症の治療薬で、多数の薬がある)を使って下げると明らかに狭心症、心筋梗塞、脳梗塞などの動脈硬化に伴う疾患は減少し、生命予後も良くなります(長生きする)。
では、コレステロールが正常な人にスタチンを使ってコレステロールを下げたらどうなるでしょうか。それは、高い人たちを下げたのと同じ効果が認められ、動脈硬化が改善されます。やはりコレステロールは下げた方が良いのです。これらの効果は、スタチンについてのみ認められ、他の薬剤でコレステロールを下げても良い結果は得られませんでした。さらにスタチンにはコレステロールを下げるのとは別に心筋梗塞、脳梗塞の発症を抑えるなど様々なすぐれた効果があります。
中性脂肪は、内臓脂肪が増加すると増えてきます。内臓脂肪の増加は、メタボリック症候群と深く関わっています。内臓脂肪を減らす方法としては、食事療法や運動療法がありますが、特に食事療法が重要です。
高コレステロール血症に対する治療法と効果が明らかになった今、メタボリック症候群の治療が新たな目標となり、国を挙げて「メタボ、メタボ」と叫んでいます。メタボリック症候群については、別に解説します。